昔、短い間のことだけれど、僕はある女の子に脚コキをしてもらっていた時期がある。
その頃、僕は学生だった。
学生の頃というとなつかしく思い出す人も多いと思うけれど、僕の場合はかなり複雑な気持ちになる。
その日、僕は放課後の教室で一人、下半身を丸出しにして横たわっていた。
何が悪かったんだろう。そればかりが頭の中をぐるぐると回っていた。
スポンサードリンク
1ヵ月前まではこんなことはなかったのだ。
僕はおとなしい方ではあったけれど、それなりには明るく学生生活を楽しんでいた。
まわりともうまくやっていたし、青春という奴を謳歌していたと言っていいだろう。
それで慢心していたのかもしれない。
学校での人間関係というのがいかに脆い物か、危ういバランスの上に乗っかっているものかというのを僕は意識していなかったのだ。
最初は、よくある口喧嘩程度のものだった。
ちょっとした意見の食い違い程度だったのだけれど、調子に乗り過ぎてしまった僕の口は必要以上に回り、そしてその影響は思った以上に大きかった。
早くも次の日には、周囲の奴の反応が変わった。
それまで仲のよかったグループまでが、僕を避けはじめた。
それと歩調を合わせるかのように、いやがらせが始まった。
市内でもそれほど荒れている学校ではなかったけれど、一旦ターゲットになればこんなものだ。
いや、ある意味では荒れていない分、余計にタチが悪かったかもしれない。
単純に殴られるとかはあまりなかった。
周囲全員から罵声を浴びせられるとか、机の中に物を入れておくと次々になくなっていくとか、そういう精神的にじわじわくる類の出来事が頻繁に起こり始めた。
もちろん、実際に荒れている学校のことは僕は知らない。
殴る蹴るが主体じゃないだけまだいいじゃないかというくらいに追い詰められている人だっているだろう。
けれど、僕にとってはそれだけでも十分過ぎた。
それに、殴る蹴るのいじめというのはエスカレートするというけれど、それはこういう陰湿なやり口の場合も同じなのだ。
数週間たつうち、周囲のやり方はよりえげつなくなっていった。
その中でもこたえたのが、女の子の前で服をはぎ取られることだ。
きっかけは、体育の着替えの時に服を持ち去られたことだった。
そのまま返してもらえず、とうとう次の授業時間になってしまったのだ。
素知らぬ顔をして授業を始めたときの、取り澄ましたような教師の顔を僕は一生忘れないだろう。
だが、その時の僕の動揺が、周りには面白かったらしい。
その後、彼らは積極的に僕の服を脱がせるようになっていった。
それは、僕にとっては屈辱以外の何物でもなかった。
同級生の女の子たちが、汚い物でもみるかのように自分の裸を見ている。その事実だけで、頭が割れそうだった。
その日も同じパターンだった。
最後の授業が終わってから、喜色満面に寄ってきたクラスメートたちは、寄ってたかって僕の服をはぎ取り、30分以上にわたって笑いものにした。
この頃には、彼らにとってはもうそれは一つの娯楽になっていたのだろう。
つい先日まで仲のよかった連中がここまで変われることに、僕は呆れていた。もっとも、呆れたとはいってもやり過ごすのが精いっぱいで、そんな余裕はなかったけれど。
クラスメートたちは散々僕を嘲笑ってからようやく飽きて帰っていった。
これで、今日のノルマは終わりだ。
そう思ったけれど、僕はもう服を着る気力さえ残っていなかった。
こんなことが、いつまで続くんだろう。もしかしたら、卒業までずっとだろうか。
それまで泣くことだけはしなかったのだけれど、ついに我慢できなくなった。
意識していないというのに、ボロボロと涙が出てくる。
格好悪すぎるとは思ったけれど、どうしようもなかった。
身体から力が抜けて、僕はそのまま床に倒れた。
起き上がる気にさえならなかった。
目を下半身に向ける。生えそろってきた陰毛にまみれた自分の汚らしい下半身がむき出しになっている。
誰かが入って来るかもしれないとは思った。もし先生がやってきたら、どういう反応をするだろう。
けれど、もう人間不信になっていた僕にはどうでもよかった。誰が入ってこようと、どうせ僕を悪者にするだけだろう。何とでも言え、という気分だった。
ワックスのかかった冷たい床の感触が、お尻に染み入ってくる。僕はしばらくの間、じっと固まったように仰向けになって、空虚な気持ちで教室の天井を見つめていた。
スポンサードリンク
ペタペタという上履きの音が近づいてきたのは、どれくらいたった頃だったろうか。
教室の外、廊下の向こうからだ。
足音からすると、集団じゃない。
この教室に入ってくるかは当然わからないけれど、その可能性は少なくなかった。
それにしても、授業が終わってかなり立つのに、酔狂なことだ。
この階には部活で使われている教室がないから、それ目的じゃないのは確かだ。
まあ、何が目的だろうと誰だろうと、知ったことじゃない。一人のようだし。
もし仮にこの部屋に入ってきて、そしてこの上何かしてくるようだったら、今度こそこちらから襲い掛かってやるのもいい。
そんな、自分にはできもしないことを考えていると、教室のドアががらりと開いた。
僕はドアの方にも目を向けず、硬く目を閉じた。
ヤケクソだった。
瞼で遮られた暗闇の中で、上履きの柔らかい足音は近づいてきて、そして僕のそばでピタリと止まった。
さあ、どういう反応をしてくるか。
悲鳴か?罵声が飛んでくるか?
僕は、心の準備をした。
けれど、しばらく待ってみても、何も起こらなかった。
足音は止まったままだ。
自分のそばに、はっきりと誰かの気配はあるのだけれど、その誰かさんは何をしてくるでもなかった。
何のつもりだろう。
そのまま5分くらいたつころには、僕の方が限界に達した。
我慢比べはもうたくさんだ。僕は目を開けた。
見慣れた同級生の女の子の姿が、目に飛び込んできた。
もっとも、見慣れているとはいっても、会話を交わしたことなどほとんどない。
まだ僕が楽しく過ごしていたころから、彼女とはまるで接触もなかった。
おとなしい部類に属していた僕と彼女は、重なる部分がまるでなかったのだ。
その女子―――M子はクラスでも飛びぬけて派手な格好をした、いわゆるギャルだった。
うすく焼いた肌、金髪、そして極端に短くした制服のスカート。
ヤマンバというほど徹底してはいなかったけれど、それでも当時、「ギャル」と言って思いつく要素を全部放り込んだような姿。
どう見たって話が合うようにも思えなくて、僕は最初から彼女を敬遠していた。
敬遠というよりも、話しかける用事がなかった。
それは彼女の側も同じだったのだろう。同じクラスだというのに、一言さえ会話をした記憶がない。
ただ、逆に接点がなさ過ぎたせいだろうか。最近のクラスの流行り―――つまり、僕への嫌がらせ―――にも、彼女はまったく参加していなかった。
というよりも、彼女は僕だけではなく、クラスメート全員に対して無関心のようだった。
学校の外で楽しいことはいくらでもある、と言わんばかりで、教室では誰とも話さずつまらなそうな顔をして窓の外をボーっとみているのが常だった。
だから、すっかり人間不信になっていた僕も、彼女に対してはさほどの敵意は持っていなかった。
敵意とかいう前に、まったく意識していなかったのだ。
彼女は黙って、立ったまま僕を見下ろしていた。やはり、何をしてくるわけでもない。それどころか、口さえ開かない。
やはりつまらなそうな顔をして、下半身裸の僕を見ているだけだ。
そのせいか、僕は不思議と脅威を感じなかった。
彼女だってうちのクラスの一員であるには違いない。むしろ、他のクラスメート以上に素行の面では評判のよくない彼女だ。
冷静に考えれば、何をしてきてもおかしくない。それなのに僕は割と平静だった。
彼女からそんな気配がまったく感じられなかったせいだと思う。
むしろ、心配すべきことは別にあった。
こんな状況だというのに、僕は別のことに意識を奪われていて、それが僕が慌てた原因だった。
視界に広がった彼女の姿は、僕の目を文字通りくぎ付けにした。
僕の顔のすぐ上で、ただでさえ短いチェックスカートが、締まり切っていない窓からのかすかな風を受けて裾をひらひらと揺らしている。
その奥に、彼女の締まった太ももと、そして僕らの年頃には似つかわしくない、色っぽい下着につつまれた股間がモロに見えた。
当たり前だ。足元から見上げているんだから。
そんなことは彼女だって百も承知だろうに、何を気にする様子もない。目をそらすこともできず、僕は眼前に広がるスカートの奥の暗がりを、まるでバカのように見つめていた。
スポンサードリンク
カテゴリ:女学生エロ体験談(男性視点)