隣家の赤ん坊は、女の子だった。赤ん坊だった彼女が幼児になり、少女になり、そして大人の女性になる。
窓の向こうで繰り広げられる日々の暮らしは、その過程をまざまざと見せつけるものだった。
職場ではまだまだ若手だと思っていた俺も、いつのまにかベテランの立場になっていたんだからどれだけ長い期間だったかはわかる。
ただ、意外に長いという感じはなかった。
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その間、仕事以外での俺の唯一の楽しみは、相変わらず隣家の様子をこっそり覗くことだった。
安月給な上に女っ気もない職場だったこともあって女はできないままだったが、その楽しみがあったせいか、意外なことに不満はさほど感じなかった。
彼らのSEXは、その間ずっと途絶えていた。
我ながらよくもまあ飽きずに見続けたものだと思う。
ただ、俺があからさまに訳ありなお隣さんに、思い入れと親しみを抱いていたのは確かだ。
覗き魔という俺の立場上、完全に一方通行の思い入れではあったけれど。
男はやはり出世街道に乗っているようでいかにも忙しそうだったが、それでもますます子煩悩になっていった。
血のつながっていないらしい女の子を、男はまるで実の我が子のように愛でていた。
40の坂に差し掛かったのか、男は何年目辺りからかにわかに老け込んでいった。
老け込み方は俺から見てもかなりひどいもので、年相応以上だったと思う。ああいうエリートというのは、多分ストレスも多いんだろう。ああなるくらいなら、エリートでなくていいやと俺は思ったほどだ。
ただ、老けるのと引き換えに彼の外見からは鋭さが薄れ、温和な印象がどんどん強まっていった。まるで、子供に好かれるためにそうなっているようにさえ見えた。
そんな彼の様子は、傍から見ていると初老のじいさんが孫にイカれているようにさえ見えた。
そんな男の傍らで、やはり優し気に我が子を見守っていた少女も、歳を重ねていた。
既に最初の頃の陰鬱さはすっかり影を潜め、落ち着いた大人の女性といったふうになっていた。昔と違って、今ではすっかり母親といった雰囲気だ。
もっとも、男とは対照的に、彼女はまだ幼い雰囲気を残したままだった。
もう少女とは言えない歳とはいえ、それでもせいぜい三十前後だっただろうから、当たり前といえば当たり前だ。
また老けるには早すぎるし、実際にスタイルも子持ちとは思えないほどスレンダーで、全く崩れていない。
むしろ、やってきた当時以上に磨きがかかってくるようにさえ思えた。
ただ、それだけに男との年齢差は一層際立っていた。
何の事情もしらない人が見たら、父と娘としか思わなかっただろう。
男と母親の姿は、年を追うごとにますます見た目の上では不自然さが際立つものになっていた。
それでも、彼らが子育てに勤しむさまは、既に町の人々を和ませる風物詩の一つになっていたから、誰もそこに突っ込むことはしなかった。
赤ん坊は既にかわいらしい中学生になっていた。
最近では珍しくなったセーラー服を着て、学校に出かけていく姿を何度も見かけた。
外見ははっきりと母親似。ただ、母親とは違って性格の方はかなり元気そうだった。
「ほんと、かわいいわよねえ、あの子」
「礼儀も正しいし…うちの子にも見習わせたいわ、本当に…」
相も変わらないおばさんたちの噂話だったが、話題の中心はいつしかその娘さんの方に移っていた。
そういうしつけをしたのか、母親と同じく娘さんもやはり折り目正しく、おばさんたちはすっかり我が子の見本のような扱いをしていた。
既にかなり怪しげな中年といった風情になっていた俺でさえ、隣の住人と認識してくれていたようで、何度か道端で挨拶された。
ふと、その娘さんの様子に、俺はこの町にやってきた当時の、彼女の母親を思い出した。
毎夜俺が覗いていた、SEXに明け暮れていたころの、陰鬱な表情の彼女。その彼女に潮を吹かせていた、まだ鋭い目をしていたあの男。
変われば変わるものだ。そう思った。
それからまた、あっという間に数年がたった、春先の日のことだった。
その日、俺は休日で、かなり遅く目を覚ました。アパートの外に出ると、珍しく引っ越し屋の大きなトラックが道に止まっていた。
隣家から荷物を運び出しているようだ。
引っ越しか…そうか、長い付き合いだったな。
そう思いながらぼんやりとみていたが、見た限り一家総出の引っ越しにしては規模が小さい。
俺も大昔に使ったことがある、単身パックというやつだ。
それでピンときた。たしか、娘さんはそろそろ学校を卒業する年頃のはずだ。
そうか。進路、決まったんだな。
覗き魔の分際でこういうのもなんだが、そう思うと感慨深かった。
見れば、玄関口であの男と母親が、業者に頭を下げていた。
影からみただけだから見えづらかったが、男の目は泣きはらしたように真っ赤。一方で、母親はどこか満足げな表情だった。
娘さんの姿はない。おそらく、荷物よりも一足先に発って、現地で準備でもしているんだろう。
業者も頭を下げ、速足で運転席に乗り込む。
すぐにエンジンがかかり、トラックは走り去っていくのを、玄関口から二人はずっと見つめていた。
車の姿がとうとう見えなくなり、玄関のドアが閉まっていく。その刹那、声が聞こえた。
「―――お疲れ様」
「―――ああ、…長かったな」
決して大きな声ではなかった。
けれど不思議なことに、その万感を込めた声は、かなり離れたところから見ていた俺の耳にまでやけにはっきりと届いた。
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その夜、俺はいつものように、窓をわずかに開けた。
十数年にわたって続けてきた、お決まりの習慣だ。
カーテンは開いていた。ソファに、あの二人が並んで座って、ぼんやりしていた。
何を話しているかは、当然わからない。ただ、お互いの労をねぎらいあっているんだろうということだけは、なんとなく想像がついた。
二人とも、穏やかな顔をしている。
と、どういう話の流れか、男の手が母親の片手を掴んだ。
指を絡ませる。
それが何を意味しているかは、俺はなんとなく察しがついた。それは、外れなかった。
すっかり老けた男の顔と、相変わらずその娘にしか見えない母親の顔が重なる。
熱烈だった。しばらくそのまま二人は、舌を絡め合っていた。
その間にも、男の手が母親の白いブラウスに伸び、ボタンを上から一つ一つ外していく。
細かい模様までは識別できなかったが、やはり白い、上品な下着の光沢が、赤々とついた蛍光灯の下であらわになっていく。
同時に、男の指がどこか感度のいいところをかすったのか、母親が身体をくねらせた。
ソファの上で、足がビクリと跳ね上がり、スカートが乱れた。
俺は息を呑んだ。
その様子は匂いたつほどいやらしくはあったが、どこか静かで、大げさに言えば神々しかった。
もう、彼女が隣家にやってきた当初のような、狂おしい激しさはない。
それでも、彼らの表情とゆっくりとした動きには、どこか、あの頃を思わせる熱がこもっているように見えた。
実際に、俺の読みは当たっていたと思う。
服を全部脱がせないうちに、男はソファの上に、母親を押し倒したからだ。
よほど興奮しているんだろう。
母親もその気になっているようだった。男の背に、手が回された。
スカートがすっかりはだける。白いスリップが、スカートの中に差し込んだ部屋の明かりを反射したのか、鈍い光を放つ。
それと同色のパンティに男の手がのび、ゆっくりと脚から引き抜いていった。
十数年ぶりにみた隣人の性器。それが窓の向こうで激しくお互いをこすり合う。
激しくとは言っても、やはり年月を重ねたせいか、かつてのような速さもキレもない。
ただ、その代わりにあの頃に輪をかけてねちっこそうな動きで、男の性器は女の中をえぐった。
SEXのテクニックは、やはり健在のようだ。
女はすっかり感じているのか、父親にしか見えない男の背中に、両足まで絡みつかせている。
男の毛むくじゃらの脚の間から、女の柔らかそうな結合部がちょうど見えていた。
男が性器を深く押し込むたびに、そこからはなにか、飛沫が散っているように見えた。
しばらく動いた後、男はソファに座りなおした。
昔なら射精してから体位を変えていた彼だが、もうそんな体力もないんだろう。
母親の顔は、すっかり快感に染め上げられていた。あんな彼女の顔を見るのも、当然ながら十数年ぶりだった。
ほおけた顔のまま、彼女は男の上に座る。股間をあてがうように。
男の性器が母親のま●こに飲み込まれていくのが、今度は正面からはっきりと見えた。
そのまま、ゆすり始める。
母親は擦り付けるように。
男は突き上げるように。
傍目からはまるでバラバラな動きだったけれど、多分、当の本人たちの間では意思の疎通は取れていたはずだ。
その証拠に、母親の表情はますますあの、若かった頃の痴態を思い出させる表情に変わっていったのだから。
みるからに、もう絶頂が近い。
と、俺はその様子を凝視しながらも、おどろいた。
母親のほお、両目の下に、光る筋が二本伸びていく。
涙が流れていた。
泣いていたのだ。
快楽に歪んだ彼女の顔に流れる涙。
一瞬気持ちよさのあまり泣いているのかとも思ったが、何となくそうでない気がした。
もしそうだとすると、それが何を意味しているのかは、部外者の俺にはわかりようがない。
それに戸惑っているうちに、男の性器は最後の一突きを母親の奥深くに加えていた。
ささりにくい角度にもかかわらず、根元まで深々と、膨らんだ男性器が母親の股間にめり込む。
母親が、がくんと首をそらせた。
白目こそ剥かなかったものの、目線が一気にうつろになる。中途半端にはだけたブラウスを羽織った、すっかり大人になった身体が、遠目にもわかるほどに痙攣した。
スカートの中の結合部から、まるで水まきでもするかのように大量の潮がほとばしった。それが、スカートも、スリップもびしょ濡れにして床に広がっていくのを見ながら、俺はティッシュを用意するのも忘れて自室に精液をまき散らしていた。
それから1週間とたたないうちに、もう一度隣家の前には引っ越し業者のトラックが止まった。
そして、母親の姿は、隣の家から消えた。
今でも時々顔は出しているから縁が切れたわけではなさそうだ。
けれど、様子を見ている限り、少なくとももう一緒に住むことはないらしかった。
それでも、先日娘さんと一緒に顔を出した時には、男は満面の笑みで出迎えていたから、良好な関係なのは間違いない。
だからこそ余計に、彼女があの家から出て言った理由がわからない。
それに、結局男と母親がどういう関係だったのかはわからないままだ。
近所のおばさんたちも、首をかしげているようだ。
けれど、それこそ本人たちにしかわからない領域という奴なんだろう。
長年覗き魔と化していた俺が言うことじゃないが、周囲が立ち入っていい話じゃない。
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カテゴリ:知人のエロ話総合(覗き・伝聞)