今でも時々、教室で過ごした放課後のことを思い出す。
より具体的に言うと、同級生だったAさんと何度も何度も相互手コキを繰り返した日々のことだ。
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俺のいた学校はいわゆる中堅校という奴だったが、うちの校区にある公立の中では就職するにも受験するにも中途半端な立ち位置の学校だった。
確かに偏差値はどちらかというと低い方だったが、それだけの問題ではない。
昔からの校風なのかどうかはわからないが、覇気のない、よどんだ雰囲気が流れていた。
生徒はどこか悟ったかのような無気力な奴が多かったし、教師にしても、なんとか定年まで勤めあげられたらいいなくらいな雰囲気。
他の学校のような押しつけがましさがないという意味ではよかったけれど、それでも自分の将来が不安になるのは否めなかった。
そんな学校に何故入ったのかと思うだろう。
けれど、進学校に行くほどの成績ではなかったし、かといって就職一本に絞るほど将来を見定めていたわけでもない俺には、他に選択肢もなかったのだ。
大体、入学前に校風を調べるほど当時の俺は知恵が回らなかった。
だから、入ってから後悔したけれど、今更どうすることもできなかった。
退学するほどの根性もなかったし。
それでも、無気力なまま1年半が過ぎたころ、さすがに俺も自分の置かれた状況に危機感を抱き始めた。
なにしろ、この学校自体、就職率も進学率もお世辞にもいいとは言えないのだ。
ただでさえそんな環境なのに、その中で何もせずに過ごしたらどうなるかは、考えるまでもなかった。
何をすればベストなのかはわからなかったが、とりあえず俺は受験勉強をすることにした。
とはいえ、入学の時でさえ大したことのなかった成績に加えて、1年半を無駄にしているのだ。
輪をかけて成績は下がっていた。
なんとか取り戻さないといけない。
そこで、俺は放課後、教室で自習することにした。
今さら塾や予備校に行くのも気後れしたし、いきなり行って理解できるとも思えない。
かといって、家は家で俺のふがいなさにいたく不満な両親が雁首揃えているのだ。
不快にならず、落ち着いて勉強できそうな場所は、他に思いつかなかった。
無気力な生徒が多いと書いたけれど、それだけにうちの学校は、授業が終わると校内にはほとんど誰もいなくなる。
ただでさえ定員を満たせないような人数の少なさに加え、みんなやる気もなかったから、部活さえあまり機能していなかったくらいなのだ。
学校として考えるとお世辞にもいい状態ではなかったのだけれど、俺個人としてはこの環境は好都合だった。
ひとりだけ勉強したからといってはやし立てられるようなこともないし、人の声もろくに聞こえなくなった静かな校内は気だるさもありつつどこか引き締まるような雰囲気で、集中できたのだ。
だから、放課後の居残りが俺の習慣になるまでは早かった。
もっとも、同じことを考えていた奴は他にもいた。
それが、同じクラスの女子、Aさんだ。
彼女は俺と違ってもともと受験志望だったようで、うちの学校の中では成績もよかった。家でコツコツやっていたようだ。
もともと接点もなかったし、俺の中では意識さえしていなかった。
そんな彼女が教室に残るようになったのは、俺が居残りをはじめてから2ヵ月くらいたったころだった。
授業が終わり、クラスメイト達が潮が引くように帰っていくなか、彼女は机に座ったまま、問題集を取り出す。
俺はこの頃になっても少し勉強をすることに気恥ずかしさはあったから、同級生たちが完全に帰ってしまうまで待ってから始めるのが定番だった。
だから、Aさんが残り始めた当初は、抵抗はやはりあった。
今考えたら向こうも勉強目的なのだから恥ずかしいも何もないはずなのだけれど、その時は同級生に勉強姿を見られること自体がどうにも居心地が悪かったのだ。
とはいえ、そう考えたからと言ってAさんが帰ってくれるわけでもないし、こちらも勉強をしないわけにはいかない。
仕方なく教科書を広げたのだけれど、一度意を決してしまえば、なんてことはなかった。
むしろ仲間ができたみたいで、心地よかったくらいだ。
別に何を話すわけでもなかったけれど、放課後の教室で無言でAさんとシャーペンを走らせる時間は、ほどなく俺にとって1日の中でも一番大事な時間になっていった。
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そんなAさんとようやく会話をするようになったのは、進級直前くらいからだ。
「調子どう?」
「まだまだって感じだよ。Aさんは?」
「あたしも。先は長いよね」
「ホント、気が遠くなるよな」
半年でかなり勉強はしたものの、元が元だけに、受験レベルまではなかなか道のりは長かった。
それに、不安があるのはお互いさまだ。
だから、いざ話すようになってみると、話はかなり合った。
堰を切ったように色々ぶちまけることも少なくないくらいで、話題は尽きなかった。
やらなければいけないことは山積みだったからそう話してばかりというわけにはいかなかったけれど、勉強が一段落するごとに俺たちは日頃のうっぷんを晴らすようにおしゃべりに熱中した。
「そういえばさ、Aさん、なんでまた学校でやるようになったの」
「親。家帰ると、うるさくて」
「あ、俺と同じか」
「やっぱり?家って意外にきついよね」
「同感。ただでさえきついのに、親の説教まで聞いてらんないよな」
「そうそう。勘弁してって感じだよね」
そんな感じで盛り上がっているうち、お互い気心も知れてきた。
だから、進級してクラスが変わっても、ごく自然な流れで俺たちは一緒に勉強を続けた。
クラス替えの初日、少し寂しい気持ちで一人で新しい教室に残っていると、彼女がひょっこりと顔を出したのだ。
「やっぱり残ってるんだね」
「そりゃな。Aさんもやっぱり居残り?」
「もちろん。あの、お邪魔していい?」
そんな感じだったから、夏前には俺たちは机をくっつけて一緒に勉強するようになっていた。
お互いわからない所を教え合うようにもなっていたから、この方がかえって手っ取り早い。
もちろん、女の子と机をくっつけて勉強するなんてカップルみたいだなと思わなかったわけじゃない。
でも、誰に見られるわけでもないし、この時の俺は彼女を戦友みたいに思っていたから、あまり勉強が手につかなくなるようなこともなかった。
だから、不都合はなにもなかった。
「まったく、みんなお付き合いに熱心だよね」
「うらやましいのは確かだな」
「そうなのよね。嫉妬しちゃうよ」
「ああ。…まあでも、その分勉強できるって思うしかないよな」
「今は我慢、かあ…つらいなぁ」
勉強しながら、そんな話もした。
お互い独り身なのだ。
別に俺らの年頃だとみんながみんな付き合っているわけでもない。
だから悔しがるといっても、それ自体は大したことはなかった。
むしろちょうどいい軽口のネタくらいな感覚だ。
幸運な一部のカップルを肴にしながら、俺たちは隣り合って日々ノートにシャーペンを走らせ続けた。
ただ、最初のうちはよかったのだけれど、徐々に心理的な影響は大きくなっていった。
いつの間にか俺は、彼女にドキドキするようになっていたのだ。
明らかに机をくっつけたことによる副作用だった。
なにしろ、身体が触れ合うか触れ合わないかの距離で毎日数時間一緒にいるのだ。
彼女の身体から立ち上る、女の子独特の香り。
制服越しにもわかる丸みを帯びた身体のライン。
それが、徐々に俺の頭をしびれさせ、満たしていった。
こうなると、勉強は手につかなかった。
一応彼女の手前、教科書を読んだりペンを動かしたりはするのだけれど、上の空だった。
特に衣替えがあってからは、それが顕著になった。
うちの学校の女子の夏服は上はブラウス一枚で、ベストなんて気の利いたものはない。
だから、当然彼女の身体のラインはより目につくし、衿元からチラチラ見える素肌や、角度によってはチラリとのぞくブラジャーの紐が筆舌に尽くしがたかった。
幸いバレはしなかったけれど、机を並べていても、下半身に流れ込む血流ばかりが気になった。
別に好きになったとか、そういうわけじゃない。俺の中では彼女はやはり受験友達という認識だった。
色々話したりはしていたけれど、恋愛に至るほど関係性が深かったわけでもない。
だから彼女への欲求は、単純な性欲に過ぎなかったのだけれど、それだけにいかんともしがたかった。
ただ、実のところ、それはAさんの方も同じだったらしい。
欲求不満なのは、成績についてばかりではなかったのだ。
考えてみれば、性欲を持て余す年頃の、それも彼氏彼女もいないもの同士なのだから、もともとそうなっても全然おかしくはなかったのだけれど。
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カテゴリ:女学生エロ体験談(男性視点)