史奈といいます。
社会人3年目で、会社ではおとなしい女の子で通っています。
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もっとも、厳密にいえばおとなしいというよりは存在感がないといった方が正確です。
わたしの場合、それは単に印象や個性が薄いというよりは、性質によるところが大きいと思います。
子供のころからわたしは口数もそれほど多くなかったですが、それ以上に何をするにも気力がわいてきませんでした。
この言い方が妥当かはわかりません。自分なりに、やるべきことはやってきたつもりではありました。
ただ、どんなことをしていても入れこめないというか、熱を感じることがないんです。
自分なりのこだわりなんてもちろんありません。
そんな調子ですから、わたしのやり方は何に対してもどこか適当で、その場しのぎに近いものだったと思います。
それは人との関係についても同じでした。
別にそれで困ったことはありません。
自分から積極的に動けるタイプではないものの、表面上うまく取り繕うことだけにはわたしは長けていたんです。
だから、人付き合いはそこそこスムーズで、友達も昔からそれなりにいました。
ただ、相手にその場限りで合わせているだけですから、相手から見たら何も残らなかったでしょう。
踏み込んだ付き合いになることはほとんどなかったんです。
存在感がないというのは、その頃から周囲の一貫した評価でした。
空気だよね、って言われることがやたら多かったんです。
普段やり過ごす分には問題ないとはいえ、自分でも気にはなっていました。わたしだって、空気と言われていい気持ちはしません。それに、周りの人たちの仲のよさに憧れることもありましたから。
でも、それを直すための気力は、やっぱり湧いてきませんでした。
そんな性格だったから、彼氏も高校時代に向こうから告白されて、ほんの少しの間つきあったのが最後です。
カップルになる以上、それなりに会話も必要ですけど、あまりにも会話が発展しなくて。
会話の間に困っちゃったんです。あれ、すごく気まずいんですよね。
そんな時間がほとんどなんですから、楽しいといえるようなものじゃなかったです。
彼の方もすぐに音を上げちゃって、別れました。
それ以来、大学に入ってもとうとう彼氏はできずじまいでした。
とはいっても、高校のときの一件で懲りていましたし、それ自体には不満はなかったんです。
それに、彼氏がいなかったからと言って、Hなことにご無沙汰だったわけじゃありません。
こういうことを言うとギョッとされるかもしれませんが、いろんな男の人とHしてきました。
女友達のつてで、ちょっとした乱交に参加させてもらっていたんです。
今日はその当時のことを、女友達とのことも含めてお話しようと思います。
その女友達、Rちゃんと出会ったのは、ありがちですけど大学のサークルの新歓コンパでした。
わたしのサークルは真面目な人も遊んでる感じの人もちょうど半々くらいの割合でいたんですが、彼女はというと見るからに遊んでる方の筆頭格に見えました。
薄めの褐色に焼いた肌、そして、赤に近い茶髪にところどころ薄い色の混じったカラフルな髪が印象的だったのを覚えています。
当初、わたしは、彼女に話しかけられませんでした。
話しかけられなかったというよりも、キャラクターがあまりに違い過ぎて、話すこと自体を思いつきませんでした。
それに、彼女と話す云々の前に、宴会の騒がしい雰囲気の時点で既に圧倒されていたんです。
挨拶程度の会話を周囲の人たちとかわすのが精一杯でした。
ただ、最初はそれでもよかったんですが、そのうちじわじわと眠り込んでしまう人も出てきて、とうとう話す相手がいなくなってしまいました。
こうなると、受け身のわたしはどうにもできません。
所在なく隅っこの方でちびちびと飲み物を飲んでいました。
その時突然、目の前にいきなりグラスが付きだされてきたんです。
グラスの主はRちゃんでした。
「かんぱーーい」
「あ…か、乾杯」
「どう、楽しんでるぅー?」
宴会の雰囲気で彼女も普段以上のノリになってはいましたが、その喋り方を聞くだけでも、わたしとは違うタイプの人だという事がハッキリわかります。
でも、少し居心地の悪さを感じていたわたしは、声を掛けられたことでホッとしました。
「うん、楽しいね、こういうの…」
「そうだよねー、あたしもはしゃぎ過ぎちゃっててさー」
「すごく楽しそうだったね」
遠くの方でしたがしっちゃかめっちゃかになっている様子は見ていました。
「うん、すごいもう満足…あんたももうちょっと騒げば?楽しいよ?」
「んー、わたしはこれで…」
「ああ、まあ、そういう人でもなさそうだもんね」
「え?」
「ああいうの、趣味じゃないでしょ?」
「…う、ううん、そういうわけじゃ…」
図星です。とてもじゃないですが、ああいう感じではしゃぐことはわたしにはできません。
でも、一応わたしは話を合わせました。
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「んーそうかなあ…まあでも、それはいいや、あんた話しててなんか気持ちいいし」
「そ、そうかな…」
「いい人って感じ。刺がまるでないっていうか…まあ、悪く言えば空気なんだけど」
「え?」
ここでも言われるのか。
彼女の言葉は、心にグサリと刺さりました。
ただ、その割に嫌な気持ちにならなかったのは、彼女のあまりにもあっけらかんとした雰囲気も大きかったと思います。
それに、彼女は続けて言ったんです。
「あ、ゴメン!言い過ぎた。でもさ、居心地いいってことも込みだから」
「そ、…そう?」
「雰囲気がちょうどいいくらいにあったかいのよね、あんた。あたしの周り、そういう人なかなかいないのよ」
「そうなの?」
「そうなのよねー。まあ、だからさ。こんなんだけど、よかったら仲良くして」
「…うん」
わたしはうなづきました。
すごいことを言われちゃったのは確かですけど、それでもその時、わたしはこれまでになく心が和らぐのを感じたんです。
存在感がない。空気。
わたしのその、どうにもならない欠点自体ををはっきり認めたうえで、それでも肯定してくれた人ははじめてだったんです。
わたしの雰囲気が彼女の言うようなものだったかというと、かなり疑問です。
でも、彼女がそう感じてくれているのであれば、わたしとしては文句をつける筋合いはありません。
友達になるにはそれだけで十分でした。
新歓の時期も終わると、サークル内も平常運転になりました。
この時期になると、友達グループもある程度分かれてきます。
例によってそつなく人間関係はこなしていましたが、昔とはちがってそれほどスムーズにはいきませんでした。
わたしのサークルは活動自体はそれほど活発ではありませんでしたが、その割には関係が濃くなりがちで、そうなると性格的にそもそも入り込むことができなかったんです。
とはいえ、サークルを離れると人間関係そのものがありません。
授業であう人たちは本当に一つ一つの授業だけの関係でしたし、ようやく決まったアルバイトもやっぱり職場だけの関係です。
だから、わたしはイマイチなじめない思いを抱きながらも、サークルに在籍し続けていました。
そんな中で、唯一親しく話せる相手がRちゃんでした。
彼女は最初の印象とは違って、遊んでる人たちのグループに属しているわけではなさそうでした。
というより、特定のグループに属していないという点では私と同じだったんです。
誰にでもどんどん突っ込んでいくタイプだった彼女ですが、その割には不思議とサークル内のみんなとは一定の距離を置いているようでした。
だからというわけではないですが、わたしたちは部室で顔を合わせると、そのままさりげなく席をはずして、喫茶店だったり空き教室に行くことが多かったです。
そこでの話は楽しいものでした。
もともとあけっぴろげで話し上手な彼女は、わたしの知らないようなこともどんどん話してくれて、わたしは柄にもなく笑い転げたりもしました。
次第に、彼女と過ごす時間は、大学生活の中でも欠かせないものになっていったんです。
ただ、一方で、彼女はわたしに対してもはっきりと一線を引いていたんです。
それがわかったのは、夏休み前くらいだったでしょうか。
ちょうどその時、わたしは試験の合間に部室で休んでいました。
その時、同級生の男の子たちがやってきたんです。
真面目系の人と遊び系の人のちょうど中間くらいに属するグループの人たちです。実のところ、それほど面識はありませんでした。
わたしは挨拶をしたんですが、彼らはちょっと顔を見合わせて言いました。
「あ、あのさ。悪気とかじゃなくて、ちょっと聞きたいんだけど」
「?」
「史奈ちゃん、Rちゃんと仲いいの?」
「?…うん」
「…うわ」
部室ではあまりRちゃんと話していませんでしたから、知らなかったのかな。
それくらいのつもりの返事だったんですが、彼らは顔を一斉にしかめました。ゲッ、という言葉が似合いそうなくらいに。
「あの、本気?大丈夫?」
「…大丈夫、って…?」
「彼女、ヤバいよ」
「…え?」
「男関係。そりゃ今のところ俺らには被害は出てないけどさ、行きずりでやるわ乱交するわ、無茶苦茶やってるみたいじゃん」
「ええっ…」
それだけ言って、わたしは絶句しました。
初耳でした。
この時までRちゃんは、わたしにそんなことを一切匂わせたことがなかったんですから。
それに、なにより中身が衝撃的すぎました。
もちろん、色々遊んでるんだろうなとは思っていましたが、そちら方向での遊びとは思いませんでした。
不快感がなかったかと言われると、嘘になります。
わたしの価値観とは、あまりにもかけ離れ過ぎていましたから。
でも。
「どうみても史奈ちゃんと合わないでしょ。あんまり言いたくないけどさ、もう付き合わない方が…」
「…勝手なこと、言わないで」
自分でも驚くくらい低く、それでいて大きな声が口から飛び出しました。
記憶にある限りはじめての怒声です。
男の子たちが、びっくりした顔でわたしを見ています。
わたしがまさかいきなり豹変するとは、思ってもみなかったんでしょう。
「…なんて言われようが、…友達、なんだから…」
普段と違ってスムーズに言葉が思いつきません。
そして、つっかえつっかえでようやく出てきた言葉も、いつものわたしのそれとはかけ離れたものでした。
自分でも、頭が混乱しているのがわかります。
ただ、彼らの忠告は聞けない。それだけはハッキリしていました。
自分の顔がこわばっているのが、はっきりとわかりました。
彼らもまずいと思ったみたいです。
「あ、ああ、そうだな、余計なこと言っちゃったな」
「悪い、俺らこれで失礼するわ、じゃあまた!」
去り際は見事なものでした。
そそくさと彼らは去り、わたしは部室に一人取り残されました。
それでも、顔のこわばりは収まりません。
わたしはただ、下を向いたまま立ち尽くしていました。
「バレちゃったか…」
びっくりして部室の入口に目を向けると、いつの間にか諦めたような苦笑いを浮かべて、Rちゃんが立っていました。
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カテゴリ:女学生エロ体験談(女性視点)